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いなかの猫の天邪鬼部屋

第25話

OnAir~シーズン3・第25話~


#夜遅く、撮影場

(教室横の運動場の隅で焚き火をして囲んで座ったスタッフ)

ボンシク : いやー、これぞ夏だな。

コーディネーター : ウ~ ちょっとゾクゾクしないですか?何か出そうな..

オソク : 出るって何が出るんだ?古い井戸の一つでもあるならまだしも...

(チュニ、ギョンミンの横に座って少しおじけづき、周囲を見回す。ギョンミン、チュニを見る。見えないように笑う。)

コーディネーター : 恐怖物の中で閉校した学校が背景だったのは何だったっけ?

オソク : シチリア。

ボンシク : あ~、シチリア2KM。だけどあれはちょっとコミック的だから、それほど...

オソク : 実際は閉校した学校は映画より芸能物でより多く扱われるんじゃないかな。今夏だけでももう何度?毎年閉校恐怖体験を扱うから、そろそろ食傷して来たよ。

コーディネーション : それでも相変らずスリルはあったけど。全部嘘だと分かっていても..ウッ...アフ~~~

ボンシク : だけど全部嘘ではないぞ。

コーディネーター : 何がですか?

ボンシク : こういう人の気配がない所には必ず何かがあるものと決まっているだろう?鬼話が昔からあるのはどうしてだ?本当に鬼が居て、出た来た事があるからだろう?

コーディネーター : 監督、どうなさったのですか...

ボンシク : 韓国だけにある話か?日本や中国、アジア地域には皆似たような鬼話がある。それは、鬼は各地に共通して存在するという事だよ....

(オソクとコーディネーター、くっ付く。チュニの目が大きくなる。ギョンミンにぐっとくっ付く。ギョンミン、チュニを見る。咎める目でボンシクを見る。)

ギョンミン : だけどどうしてアジアにだけあるんだろう?鬼も人種別なのかな?

ボンシク : 知るか。地獄にも人種別で収監されるのか...

ギョンミン : (舌うち) ...子供が聞いているのに、まったく...

ボンシク : うん?(ようやく青くなって震えているチュニを見る) ああ...いや、その... おじさんが作った話だよ。ここの、このおばさんをからかって..

コーディネーター : 誰がおばさんですか?まだ娘ですけど?

ボンシク : 娘もおばさんも子供の目には大した違いはない。娘だったら娘鬼神と会った時には役に立つな...

コーディネーター : え?

ボンシク : 何歳だったっけ?...30は超えているだろう...

コーディネーター : 監督、私の年齢を増やさないで下さい。それに最近は女性は30歳からなんですよ。私なりにプロフェッショナルのキャリアとしてのプライドがあるんですから...

ボンシク : 何?'フ'ライド?お前もチキン屋をやるのか?

コーディネーター : (呆れる) ハ-

(ギョンミンとオソク、笑う。チュニ、従って笑う...)


#ギョンミンの宿所

(寝袋を広げるギョンミン。チュニ、横でカメラを触る。)

ギョンミン : (寝袋に座る) もう寝ろ。すっかり遅くなった。

チュニ : (カメラを置いて座る) こんなふうにして寝るの?

ギョンミン : こんなふうにして寝た事がないだろう?

チュニ : あるよ。キャンプに行った時..

ギョンミン : そうか?小学生もキャンプに行くのか?俺たちの時と随分違うな...

チュニ : 最近は皆行くよ。僕も一年に二回位行くんだから。

ギョンミン : そうか....。行って何をするんだ?

チュニ : 克己訓練をしたり、ご飯を作って食べたり、遊んだり..

ギョンミン : へえ~ (頷く) じゃあチュニもご飯を炊いたんだな?

チュニ : (見る) いや。

ギョンミン : どうして?

チュニ : ご飯は僕の担当じゃないから。僕はカレー担当だよ。

ギョンミン : (思いがけない、感心した目) カレーを作れるのか?

チュニ : 3分カレーだよ。

ギョンミン : 何???

(深い夜。眠ったギョンミン。チュニ、眠れずガラス窓の外を見て顔をしかめる。ギョンミンにくっ付く.....)


#朝

(ギョンミン、目覚める。息苦しさに見下ろすと、チュニがギョンミンの寝袋に入って来たまま眠っている。ギョンミン、そっと笑う..)


#二日後午後、撮影場

(撮影を終えて荷物を積むスタッフ。チュニ、小さな小道具を運ぶ。)

オソク : いやあ~ チュニは今日はしっかり一人分働いたな。日当をあげないとならないな。

チュニ : (見る) 僕は子供だから半分だけ下さい。

オソク : (口をつぐんでポカンとした顔でギョンミンを見る)....

ギョンミン : (苦笑する) 言ったからには本当にやらないとな。オソク、お前が責任を取れ。

オソク : ウワー~ 父子だからって酷過ぎる...がっちりし過ぎだ...

ギョンミン : (明るく笑う) ....

(チュニ、ギョンミンを見てにやりと笑う....)

(出発しようとする車)

ギョンミン : (オソクに) 俺は明日戻る。ここでちょっと立ち寄るところがあるから。

オソク : 分かりました。ではチュニは...

ギョンミン : ああ。一緒に行く。心配するな。

オソク : はい、気を付けて。先に戻ります。

ギョンミン : ああ。

オソク : (チュニに) チュニ、さようなら~。また会おう。

チュニ : (頭を下げる) さようなら。

(車が去る。)

ギョンミン : 俺たちも行くぞ。

チュニ : (助手席に乗る) どこに行くの?

ギョンミン : ここからもう少し行くと、凄くいい所があるんだ。明け方に行けば本当にいい風景を撮れるけど、ソウルからは行くのが大変なんだ。せっかく来たんだから、写真を撮って行こう。OK?

チュニ : (期待して) はい。


#翌日夜明け、主山地

(ギョンミンとチュニ、寝起きの顔で水煙を見下ろす。水際に立つ木を見て一緒に首を傾ける。)

ギョングミン : まるで雲の上にいるみたいだと思わないか?あの木がまるで神仙のように見える...

チュニ : あれ、水の中でも生きてるよね?葉が青い...

ギョングミン : うん....不思議だ....

チュニ : ......(見る) それで、写真は撮らないの?

ギョンミン : (我に帰って)うん?....そうだ、写真...

(カメラを取り出すギョンミン、レンズを挟む。チュニ、観察する。ギョンミン、露出を合わせてチュニに与える。)

ギョンミン : 一度撮ってみろ。露出は合わせておいたから。撮りたい物体が赤い火に来るようにして...

(チュニ、カメラを持って撮る。ギョンミン、確認する。)

ギョンミン : 少し搖れた。シャッター速度をちょっと減らさないと...。(また与える) もう一度やってみろ。

(チュニ、撮る。自分で確認する。)

チュニ : 今度はちょっといいよ。ところで...これを左側より右側に置きたいんだけど..

ギョンミン : (見て、'こいつ...') それじゃこの赤い火の位置を調整するのを教えてやる...(振り返って湖を見る。) 早くしないと。霧が消える..

チュニ : (湖を見て足をばたばた踏み鳴らす) 早く早く。

(二人、湖畔で熱心にシャッターを切りながら興奮する....)


#ギョンミンとヨンウンのアパート、昼

(玄関を開けて立ち入るチュニとギョンミン)

ギョンミン : ただいま~

チュニ : ただいま~

オキシム : (部屋から出る) お帰りなさい。チュニ、面白かった?

チュニ : はい。

ヨンウン : (ウンミンを抱いて出て来る。チュニを見て) 変事はなかった?一日遅くなると言うから心配したんだけど...

ギョンミン : 心配って...

チュニ : 今朝、いや夜明けに凄く綺麗な水辺に行ったんだ。

ヨンウン : 凄く綺麗な水辺?それ、どこ?

チュニ : (ギョンミンを見て)?

ギョンミン : (口の形だけで。主,山,地)

チュニ : あ...主山地。

ヨンウン : 主山地?本当?ウワー~ 良かったでしょう?

チュニ : ママも知ってるの?

ヨンウン : それは~ 行った事はないけど美しい事で有名な所だから...(ギョンミンを見て微笑む)


#夜、ギョンミンとヨンウンの寝室

(ギョンミン、鏡台に座ってノートPCを見て写真を整理する。ヨンウン、ウンミンを寝かせてそばに来て見る。)

ヨンウン : たくさん撮ったのね。

ギョンミン : 俺は時間がなくてあまり撮れなかったんだ。撮影場写真はほとんどチュニが撮ったんだよ。

ヨンウン : 本当に?これをチュニが撮ったの?

ギョンミン :(嬉しい微笑みを作る)

(写真を次々に見てギョンミン、言葉が出なくなる。)

(ギョンミンが撮影に沒頭している姿が色々盛られている。カットを叫ぶ場面、モニターを見る場面、俳優に指導する場面、椅子に座って目を閉じている場面.....)

ギョンミン : (ジーンとする)......

ヨンウン : (感激して)......これを全部チュニが撮ったのね....?

ギョンミン : うん....(口元に微笑滲む)






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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